こんにちは、あやです。ジャパニーズボブテイルという猫をご存知ですか?なんと日本が原産国の品種なんです。
どんな性格なのか、育て方に特徴はあるのか、日本原産の猫なのに英語名なのはなぜなのか。
日本猫の歴史と共にジャパニーズボブテイルが品種登録された背景をご紹介いたします。
ジャパニーズボブテイルの性格と育て方
ジャパニーズボブテイルの性格は、フレンドリーで活発です。育て方にも特に難しいという事はありません。
すなおで人懐っこいにもかかわらず、独立心も強いジャパニーズボブテイル。
その猫らしい性格も魅力的ですが、最大の魅力は、何といっても、ポンポン状のしっぽです。ふわふわのしっぽを、ブンブン振って甘えてくるしぐさは、本当にかわいくて癒されます。
そんなジャパニーズボブテイルの魅力を、ひも解いていきます。
古代日本人と猫との暮らし
太古の昔から営まれてきた、猫と人との生活。多くの犬種と違い、野生を失わないまま人と暮らすのも、猫の魅力の一つです。
猫の家畜化がはじまったのは、紀元前4000年のエジプトからといわれています。
古代都市ヒエラコンポリスで、ヤマネコの祖先の化石が発見されたことからも、今からおよそ6000千年前には、生活圏が隣接していたことが分かります。
日本では2011年に壱岐カラカミ遺跡で、猫の化石が発見されています。カラカミ遺跡は弥生時代後期の遺構で、およそ2000年前には猫と生活圏が隣接していたことが分かっています。
いにしえより書物にのこる日本猫のようす
古代より生活の身近にいた猫ですが、平安時代には猫にまつわる記述が幾つか残っています。
枕草子に記載されている一条天皇の、飼い猫にかける愛情は驚くほどで、天皇のそばに侍られるよう貴族の位を与えられ、乳母やまで用意されていました。この時代、天皇のそば近くに侍るのは貴族だけでしたが、猫にまでそのルールを適用するとは、なまなかな愛猫家ではありませんね。
当時の飼い猫事情からみると、貴族が買う猫は貴重で高級品です。位を与えてそばに寄せるのは、おかしいことではないのかもしれません。当時は貴重品扱いのであったため、盗難を防ぐ為にも、ヒモでつないで飼育するのが一般的でした。
かわいがられているとはいえ、自由奔放が魅力の猫にとっては、少々きゅうくつな時代と言えます。現代でも猫たちはそのキュートな容姿や、時に野生を思わせる凛々しいしぐさで、私たちの心をつかんではなしません。
ジャパニーズボブテイルの特徴と性格
ジャパニーズボブテイルは好奇心が強く、飼い主の動向をよく見て行動する賢い猫で、飼育しやすい品種です。
社会性も強く、猫の多頭飼いや犬などとの同時飼育なども可能です。よくしゃべる猫としても有名で、まるで飼い主と会話をするように鳴き声をあげたり、人にはほとんど聞こえない声で、内緒話のように話しかけてきたりもします。
飼い主の家族に赤ちゃんが増えたとき、赤ちゃんに一日中寄り添って、あやすような態度を取ることがあるなど、飼い主の手が足りていないところを、助けようとする一面もあります。
その一方で独立心も強く、高い身体能力で高所に登り、気が向くまで降りてこないなど、孤独の時間を大切にもします。1匹の時間も家族との時間も大切にするなんて、彼らの行動はまるで人のようですね。
ジャパニーズボブテイルの歴史
猫島、猫の町といったように、町角で野良猫としてもよく見かける日本猫。
実はアメリカで2品種が登録されていて、ジャパニーズボブテイルとジャパニーズボブテイル・ロングヘアと呼ばれています。
ジャパニーズボブテイルとして品種登録されたのはごく最近で、20世紀後半になります。日本猫の中でも、 品種として認められている身体的特徴は、品種名にもなっている、ウサギのように丸まったしっぽです。
日本猫とジャパニーズボブテイル
ジャパニーズボブテイルを含む日本猫の身体的特徴は五つあります。
- 胴も脚も長くすらりとしており、筋肉質な体形です。
- 頭と耳は三角形で、耳は先が丸みをおびています。
- キュッと吊り上がったアーモンドアイをしています。
- 鼻筋はスッと通っています。
- しっぽが長短3種類の長さに分けられます。
3種類あるしっぽの中でも、鍵曲がりにくるりと巻いて、ウサギのようなポンポンの尻尾の個体を、ジャパニーズボブテイルと呼びます。
南中国や東南アジアに似たしっぽの猫がいますが、ぽんぽんしっぽを形成する遺伝子が違い、他にない特徴です。
そこから日本の有志の協力を得て、100匹にも及ぶボブテイルどうしでの交配に努め、10年ほどで公認に至ります。短い尾と長い尾では、長い尾が顕性遺伝となっているので、短い尾の仔猫は誕生しにくく、品種登録の道のりは短くありませんでした。更に10年ほど後には長毛種の登録も認められ、ジャパニーズボブテイル・ロングヘアと名づけられました。
アメリカで品種改良と品種登録をされているジャパニーズボブテイルは、日本が原産国でありながら、繁殖と飼育の中心はアメリカという不思議な状態になっています。
尾曲りの猫はどこから来たのか?
尾曲りの唐猫が、中国から日本に渡来したといわれているのは6世紀ごろと古く、仏教の経典や美術品を、ネズミから保護する為に共に船に乗っていたというものです。
尾曲りの唐猫が登場する以前も、ヤマネコ種のほかに家猫が居ました。しかし、いつごろから日本猫が居たかははっきりしていません。骨の検証が進んでいないので、ヤマネコ種の可能性が否定できませんが、2011年に壱岐カラカミ遺跡から発掘された猫種の骨は家猫説が有力です。
街中で短尾の猫をよく見かけるのは、長崎の出島周辺です。そこでは尾の短い猫を、長崎猫と呼んでいます。南アジアや、南中国からの船で渡来したと推測されている尾曲りの唐猫は、長崎猫を経て日本猫として定着していったとも言われています。
現在の日本猫は雑交配が進み、ボブテイルの猫は少ない傾向にあります。
ジャパニーズボブテイルにお勧めのキャットフード
ジャパニーズボブテイルは、筋肉質な体をもっています。体を維持するためには、高たんぱく・高カロリーのフードが必要です。
避妊や去勢手術が済んでいる猫は、太りやすくなっていますから、体重と日ごろの運動量や年齢をみて、1日で与える量の目安や、フードの内容に気をつけて与ます。また、去勢・避妊の有無にかかわらず、与えた量が残さず食べきれるかどうかの確認も必要です。
ドライフードとウェットフード、どちらのフードでも総合栄養食と記載があれば、猫の好みや、年齢などに合わせてあたえます。一般食と記載がある場合は、総合栄養食の合間に与えるおやつとして与えるか、総合栄養食と記載されているドライフードと混ぜて利用してください。
総合栄養食か一般食かは、裏書に記載がありますから、どちらが必要か必ず確認し、購入するようにしてください。
ドライフードとウェットフードの違い
ドライフードとウェットフードそれぞれにメリットとデメリットがあります。
ドライフードの主なメリット
- カリカリと歯ごたえを堪能しながら歯石が取れます。
- 保存が効くので、日中留守がちでも与えやすいフードです。
ウェットフードの主なメリット
- 肉や魚の香りが強いため、食欲が落ちているときでも食べる可能性がたかくなります。
- あまり水を飲まない個体でも、食事から水分を摂取する事ができます。
ドライフードの主なデメリット
- ウェットフードに比べて香りが少ないため、食いつきが悪くなることがあります。
- 飲み水が足りなければ、腎臓に影響がでます。
ウェットフードの主なデメリット
- 開封後の保存期間が当日と短いフードです。食あたりをさけるために、開封後は冷蔵庫を活用し、食べきれる量を与えるか、1回で食べきれる量の、小さなパックの利用が必要です。
ジャパニーズボブテイルに限らず、猫は腎臓が強くありません。どちらのフードを利用する場合も、たっぷりの水をいつでも飲めるように、用意することが大切です。
ジャパニーズボブテイルは遺伝性疾患が無い品種です。ですが、病気に無縁とはいえず、特にオスの飼育では、尿結石症予防のフードでの発症の可能性を低くすることが大切です。平均寿命はほかの品種の猫と変わりません。
室内飼いの猫の寿命は長く10年から15年、飼育環境や固体の生命力によっては、20年を超す長寿猫も居ます。長生きをすれば、終末期に介護が必要になることもあります。
ジャパニーズボブテイルに適した飼育環境と育て方
ジャパニーズボブテイルに適した飼育環境
猫も人も気持ちよく暮らすために整えるのが、飼育環境としつけによるルールの徹底です。
ジャパニーズボブテイルは賢く、飼い主の考えを察することのできるタイプの猫です。トイレや爪とぎといったしつけが上手くいかず困る、といったことはあまりありません。
ジャパニーズボブテイルは、筋肉質な体形であることから伺えるように、活発に動くことの好きな猫です。高いところに登ったり、隠れていた隙間から飛び出してくるなどの多彩な遊び方をこのみます。
- キャットタワーなどで上下運動が出来るようにする。
- トンネル状の暗くて隠れられる場所を作る。
- 爪とぎ用のアイテムを複数用意する。
運動量の確保と1匹になれる空間をつくることで、問題行動を減らすことができます。猫のストレス管理の為にも飼育環境を整えましょう。
ストレス管理で問題行動を減らす
ジャパニーズボブテイルはそれほどストレスに強い品種ではありません。
ストレス管理を怠ると、室内の壁や柱にマーキングスプレーをするなどの問題行動が起きます。
通常のマーキング行動とは違い、マーキングスプレーは、猫が不安を抱えていたり、警戒しているときに起こります。マーキングスプレーはオスだけではなく、メスでも起こす問題行動です。
- オスのスプレー行動は発情期とも密接な関係があります。オス猫を迎えたときは、獣医師に相談して、去勢手術を行うことも選択肢に入れましょう。
- メスの発情期はオスのマーキングスプレーを誘発します。繁殖を考えていない場合は、獣医師に相談して避妊手術を行うことを選択肢に入れましょう。
基本的に、猫と良好な関係が結べていれば、ストレス性のマーキングスプレーをすることは、まずありません。
問題行動の裏には理由があります。去勢手術が済んでいるオス猫や、以前はしなかったマーキングスプレーを急に始めた猫の場合は、何らかのストレスを感じているサインです。
主なストレスの原因となるものは以下の5つです。
- 新居に移動してきたばかりで、新しい環境に慣れることができない。
- 飼い主側に同居人が増えたとき。
- 窓越しによその猫と鉢合わせる、又はけんかをするなどの、テリトリーを侵されたと感じたとき。
- トイレが不衛生な状態が続いているとき。
- 何度も大声で怒鳴る人が近くにいるとき。
しつけの問題は、ほとんどが飼い主側にあります。
物音を含め、猫は環境の変化や、飼い主の感情の変化に敏感です。問題行動に悩む飼い主の困り事は、猫の困り事でもあります。どちらも快適に暮らせるように、尊重しあえる関係を作りましょう。
野生を失わない猫の生態を踏まえ、人との共生ができるよう意識と環境を整えることが大切です。猫とのスキンシップは適度に取れているか、飼育環境に問題はないかを確認しましょう。
トイレのしつけとストレス管理
ジャパニーズボブテイルは、他品種の猫たちと同じように清潔を好むため、トイレは毎日、できるだけこまめに掃除してやることが必要です。
新しく迎えた猫には、以前使用していたトイレ砂を、新しいトイレにすこし加えることで、排泄場所を覚えさせることができます。
1度覚えたトイレで失敗することは、まずありません。トイレを使わないという事があるなら、トイレが不衛生などの問題があるか、別のストレスを抱えている可能性があります。もしくは老齢になり、居場所からトイレが遠く、間に合わないか、身体に異常がでる病気にり患した可能性などが考えられます。
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ねこと暮らすことと家族のありよう
子供と動物が暮らすことの良い面が強調されがちですが、ライフスタイルの多様化が進む現代、子供をふくむ、人と動物が共に生活することはいい面ばかりでもありません。
ネコらしい性格のジャパニーズボブテイルは、十分にかまってやれないことで、寂しさから問題行動を起こすことがあります。
他にも、同居家族のアレルギーの問題や、極端に猫が苦手な人間が同居家族に居る場合、猫が警戒心を強く持ち、懐かないだけでなく怪我を負ううケースもあります。環境が許さなければ、猫と飼い主双方のストレスになってしまうことも考えなくてはなりません。
ジャパニーズボブテイルの多様な毛色と瞳の色
ジャパニーズボブテイルの毛色は、カラーもパターンも多種多様で、4つのカテゴリーと、各カテゴリごとに8つのディビジョンがあり、被毛パターンの全てが発現します。瞳の色も被毛に準じて7色全てが発現します。
基本の被毛パターンはトラ柄の黒、オレンジです。白い被毛が顕性遺伝となっていますが、被毛パターンについては、まだ不明な点がおおくあります。そのため、母猫の体内にいるときに定着する、という俗説もよく言われています。今現在、思いのままに被毛パターンを発現させることは不可能です。
被毛に合わせて発現する瞳の色ですが、被毛と同じくメラニン色素の遺伝的影響下にあります。7色の瞳の色は、顕性遺伝と陰性遺伝によって発現率が違います。カッパーやアンバーは顕性遺伝子で、発現率も高くなります。生後2か月ほどのキトンブルーの時期が過ぎると、個体独自の瞳の色になります。
オッドアイズの個体は虹彩異色症と呼ばれ、視覚障害を持つことが多いようです。
ジャパニーズボブテイルの被毛パターンと瞳の色には人気のパターンがあります。特に白地に三毛のオッドアイズは、希少さもあり海外では人気のパターンです。
ジャパニーズボブテイルの被毛の手入れと抜け毛の量
ジャパニーズボブテイルの被毛は、ダブルコートです。被毛の長さは、短毛種と長毛種の2パターンありますが、ともに換毛期の抜け毛の原因となるアンダーコートが少なめなため、比較的抜け毛の少ない品種です。
猫はどの品種でも抜け毛があります。そのため、ブラッシングなどの手入れは欠かせません。
ジャパニーズボブテイルは抜け毛が少ない品種のため、毎日のブラッシングの回数は1日1、2回程度で大丈夫です。なめらかな被毛で毛玉はできにくい品種ですが、毛玉がまったく出来ないわけではありません。特に、ロングヘアの猫は腹側の被毛が毛玉になりやすいので、絡まって皮膚炎を招く原因にならないよう、なるべく毎日ブラッシングをして気を付けましょう。
清潔な状態を保つため、長毛種4週間に1回程度、短毛種は年2回程度をめやすにシャンプーを行います。シャンプーをすることでブラッシング時の抜け毛もより少なくなります。水を怖がらない品種ですが、自宅でのシャンプーが困難な場合は、トリマーなどプロにお願いするのも有用です。
ジャパニーズボブテイルのブリーダーと里親制度
ジャパニーズボブテイルは、アメリカで品種改良をされた猫の為、育種の中心はアメリカです。現在、日本での血統書付きの猫は入手困難となっています。日本ではそう珍しくない、尾の短い日本猫ですから、ジャパニーズボブテイルを、ブリーダーとして飼育、販売しているところも少ないのが現状です。
血統書付きのジャパニーズボブテイルの入手方法は、アメリカなど海外のブリーダーから輸入するか、すでに飼育している家庭から、子供を譲り受ける事が中心になります。ペットショップでの流通はほぼありません。血統書付きではありませんが、日本生まれの短尾猫は、保護施設などにいることもありますので、里親制度で譲り受けるなどの方法もあります。
日本生まれの猫に限りますが、尾の短い日本猫を飼っている人は、アメリカのCFAに登録申請をして、血統証明を発行するという手段もあります。
尾の長さや、ポンポン状のしっぽなど、ジャパニーズボブテイルと認定する基準はいくつもありますが、認定が下りれば、晴れて血統書付きのジャパニーズボブテイルになります。日本猫で唯一、世界に認められた純血種。ジャパニーズボブテイルになる可能性があると思うと、面白いチャレンジではないでしょうか?
海外では珍しいしっぽの形状により、魅力的に感じられ、かわいがられているジャパニーズボブテイル、貴重な日本の血統猫を保護し、大切にしていきたいですね。
まとめ
- ジャパニーズボブテイルの、うさぎ様ぽんぽんしっぽは、日本特有のものです。
- ジャパニーズボブテイルは好奇心が強く、賢い品種です。社交的で愛情も深いが、孤独も好む傾向もあります。
- ジャパニーズボブテイルは運動が大好きです。沢山運動できるように、キャットタワーなどの準備が必要です。
- ジャパニーズボブテイルの品種登録は最近の為、現在飼育している固体が基準を満たせば、血統書付きの猫になる可能性があります。
ジャパニーズボブテイルの歴史を面白く感じていただけましたか?身近にポンポンしっぽの日本猫が居るなら、国内では少ないブリーダーの道に進むというのもいいかも知れませんね。